広報活動
ウッドデザイン賞2022 広報普及啓発部会 注目のプロダクトを徹底レポート!
レポート
2023.03.14
◇◆展示点数188点!「ウッドデザイン賞2022」注目のプロダクトは? ◆◇
2022年12月7日〜9日、「エコプロ2022」では、日本ウッドデザイン協会が主催する
「ウッドデザイン賞2022」の受賞作品の展示を実施。
多種多様な観点で、木を用いた社会課題の解決に関心を持つ方から、
SDGsについて学びを深める小中学生まで、多くの来場者に恵まれました。
今回は、最優秀賞4点、優秀賞9点、奨励賞15 点をはじめ、
入賞した188点について、現物やサンプル・パネルを展示した当日の模様から
編集部が注目したプロダクトを中心にご紹介します。
◇◆自転車や鉛筆、身近なプロダクトが“木”と出会うと?◆◇
当日、東京ビッグサイト東5ホールの「森と木で拓くSDGsゾーン」では、
建築・空間分野、調査・研究分野、技術・建材分野、
コミュニケーション分野、木製品分野のカテゴリーに分けて
バラエティに富んだ受賞作が展示されました。
たとえば、カネモク工業株式会社(東京都)が手がけた
「木製自転車スポーツタイプ TR-S型 E-Thruタイプ」(優秀賞・ハートフルデザイン部門)。
ふだん見慣れた自転車というフォーマットで、フレームに木材を使うことで、
こんなにも温かみを増すということを、見て感じられるデザインです。
木製フレームとしてJISの試験基準もクリアし、耐久性や実用性も評価された同作品。
安全・安心に基づいたうえでの、あえての「木(もく)」という選択によって、
自分だけのこだわりを込めた、「唯一無二の木の自転車を選ぶ」という新たな価値観も示します。
※JIS:日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと
また、こちらも生活に身近なものとして、大人からも子どもからも注目を集めていたのは
三菱鉛筆株式会社(東京都) やや品川区教育委員会 (東京都)が展開する
「人を育てる緑を育てる『フォレストサポーター鉛筆』」(奨励賞・ソーシャルデザイン部門)。
本体の途中までしか芯が入っていない同作品。
書けなくなるまで使い終わると、学校で鉛筆を回収し再利用する活動までが作品です。
その過程で、自然と資源循環やリサイクルを考えるきっかけが盛り込まれています。
2021年11月から品川区立の小学校・義務教育学校で実証実験中ということで、今後その効果についても、見守っていきたくなる事例でした。
◇◆「軽くてかわいい」で、木を身近な存在に変える◆◇
多様なプロダクトが並ぶブース内で、一際かわいらしい存在感を放っていたのが有限会社一場木工所(広島県)の「森のお店屋さんごっこセット ひなたぼっこマルシェ」(ハートフルデザイン部門)。
広島をはじめとする中国地方「やまなみエリア」の地域材で作ったマルシェ型のお店屋さんごっこセットです。
36種類以上の食材やトレー、カゴ、包丁、まな板など360個のパーツ付き。本格派のデザインなのに、軽くて安心して遊ばせられると保育の現場を中心に評価を集めています。
同作品を手がけたのは、一場木工所・代表取締役の一場未帆さん。
2003年に創業者の父親から会社を引き継いで以来、全国でも数少ない技術士(森林部門/林産)の資格を取得するとともに、木の香りやぬくもりを伝え、提案する事業を発展させてきた人物です。
もう一つの活動である「木育普及委員会」を含めて、ウッドデザイン賞を7回連続受賞している一場さん。ご自身の活動と、同表彰制度についての想いを語ってくださいました。
「木育が利益を生み出すために欠かせないのがウッドデザインです。
このことを、誰でも使えるように公開して地域で共有すれば、
価値がないと見なされている地域の山や木材がお金を生み出し、
里山の再構築につながるのではないでしょうか。また、ウッドデザイン賞への参加を通して、一体何が“ウッドデザイン”であるかを、考える態度が身に付きました。ウッドデザイン協会では、同じ志を持った方々や企業と
つながり連携できることも、高いモチベーションになっています」
◇◆「描くだけで木の消費につながる」ペンセットも登場!◆◇
会場で実際に目にして、深く優しいインクの色味が印象的だったのが
岸田木材株式会社(富山県)らによる
「ひみ里山杉からできたインク/つけペンセット」(奨励賞・ライフスタイルデザイン部門)。
製材過程で生まれる杉の皮を煮沸してインクを製造。
ユーザーのニーズを踏まえて、木製ペンとセットで販売しているプロダクトです。インクを抽出したあとの皮も捨てることなく、堆肥として活用しています。
同作品の特異性は、廃棄処分されていた素材をアップサイクルすることで
「木の日常消費」を可能にしている点。書くという行為を通じ、暮らしの中でごく自然に木の付加価値利用をもたらすことが、審査員の注目を集めました。
同作品を担当したのが、岸田木材株式会社「木つかってます課」の明松洋介さんです。創業130年を超える製材業の老舗に新卒入社された明松さんは氷見杉を「ひみ里山杉」としてブランド化する活動を行われています。
ウッドデザイン賞は、初参加の前回に続き、今回で2年連続の受賞。
本作品について「優秀賞を狙っていたので、少し残念」と悔しさも滲ませていた明松さんにウッドデザイン賞への想いを伺いました。
「広報宣伝費が少ない中小企業にとって、受賞することで、多くの人の目に留まるのはありがたいことです。また講評を通して、審査員の方の意見を聞いてあらためてプロダクトについて認識する点も多く、参加企業としての満足度も高いですね。
消費者からの評価ももちろん大事ですが、どちらからというと感性に関わる反応が多いため、ここではデザインとしての価値、プロダクトとしての価値についてのフィードバックがいただけることに、本質的な参加の意義を感じています」
今後も多彩なプレーヤーが、ウッドデザインという共通項のもとに
魅力的なプロダクトを届けてくれることが予感にあふれた展示内容でした。
2015年から2022年までの受賞作品は、
「ウッドデザイン賞受賞作品データベース」で検索いただけます。
気になるプロダクトをぜひご覧ください。
**過去のウッドデザイン賞データベース**
https://www.wooddesign.jp/past/
2022年12月7日〜9日、「エコプロ2022」では、日本ウッドデザイン協会が主催する
「ウッドデザイン賞2022」の受賞作品の展示を実施。
多種多様な観点で、木を用いた社会課題の解決に関心を持つ方から、
SDGsについて学びを深める小中学生まで、多くの来場者に恵まれました。
今回は、最優秀賞4点、優秀賞9点、奨励賞15 点をはじめ、
入賞した188点について、現物やサンプル・パネルを展示した当日の模様から
編集部が注目したプロダクトを中心にご紹介します。
◇◆自転車や鉛筆、身近なプロダクトが“木”と出会うと?◆◇
当日、東京ビッグサイト東5ホールの「森と木で拓くSDGsゾーン」では、
建築・空間分野、調査・研究分野、技術・建材分野、
コミュニケーション分野、木製品分野のカテゴリーに分けて
バラエティに富んだ受賞作が展示されました。
たとえば、カネモク工業株式会社(東京都)が手がけた
「木製自転車スポーツタイプ TR-S型 E-Thruタイプ」(優秀賞・ハートフルデザイン部門)。
ふだん見慣れた自転車というフォーマットで、フレームに木材を使うことで、
こんなにも温かみを増すということを、見て感じられるデザインです。
木製フレームとしてJISの試験基準もクリアし、耐久性や実用性も評価された同作品。
安全・安心に基づいたうえでの、あえての「木(もく)」という選択によって、
自分だけのこだわりを込めた、「唯一無二の木の自転車を選ぶ」という新たな価値観も示します。
※JIS:日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと
また、こちらも生活に身近なものとして、大人からも子どもからも注目を集めていたのは
三菱鉛筆株式会社(東京都) やや品川区教育委員会 (東京都)が展開する
「人を育てる緑を育てる『フォレストサポーター鉛筆』」(奨励賞・ソーシャルデザイン部門)。
本体の途中までしか芯が入っていない同作品。
書けなくなるまで使い終わると、学校で鉛筆を回収し再利用する活動までが作品です。
その過程で、自然と資源循環やリサイクルを考えるきっかけが盛り込まれています。
2021年11月から品川区立の小学校・義務教育学校で実証実験中ということで、今後その効果についても、見守っていきたくなる事例でした。
◇◆「軽くてかわいい」で、木を身近な存在に変える◆◇
多様なプロダクトが並ぶブース内で、一際かわいらしい存在感を放っていたのが有限会社一場木工所(広島県)の「森のお店屋さんごっこセット ひなたぼっこマルシェ」(ハートフルデザイン部門)。
広島をはじめとする中国地方「やまなみエリア」の地域材で作ったマルシェ型のお店屋さんごっこセットです。
36種類以上の食材やトレー、カゴ、包丁、まな板など360個のパーツ付き。本格派のデザインなのに、軽くて安心して遊ばせられると保育の現場を中心に評価を集めています。
同作品を手がけたのは、一場木工所・代表取締役の一場未帆さん。
2003年に創業者の父親から会社を引き継いで以来、全国でも数少ない技術士(森林部門/林産)の資格を取得するとともに、木の香りやぬくもりを伝え、提案する事業を発展させてきた人物です。
もう一つの活動である「木育普及委員会」を含めて、ウッドデザイン賞を7回連続受賞している一場さん。ご自身の活動と、同表彰制度についての想いを語ってくださいました。
「木育が利益を生み出すために欠かせないのがウッドデザインです。
このことを、誰でも使えるように公開して地域で共有すれば、
価値がないと見なされている地域の山や木材がお金を生み出し、
里山の再構築につながるのではないでしょうか。また、ウッドデザイン賞への参加を通して、一体何が“ウッドデザイン”であるかを、考える態度が身に付きました。ウッドデザイン協会では、同じ志を持った方々や企業と
つながり連携できることも、高いモチベーションになっています」
◇◆「描くだけで木の消費につながる」ペンセットも登場!◆◇
会場で実際に目にして、深く優しいインクの色味が印象的だったのが
岸田木材株式会社(富山県)らによる
「ひみ里山杉からできたインク/つけペンセット」(奨励賞・ライフスタイルデザイン部門)。
製材過程で生まれる杉の皮を煮沸してインクを製造。
ユーザーのニーズを踏まえて、木製ペンとセットで販売しているプロダクトです。インクを抽出したあとの皮も捨てることなく、堆肥として活用しています。
同作品の特異性は、廃棄処分されていた素材をアップサイクルすることで
「木の日常消費」を可能にしている点。書くという行為を通じ、暮らしの中でごく自然に木の付加価値利用をもたらすことが、審査員の注目を集めました。
同作品を担当したのが、岸田木材株式会社「木つかってます課」の明松洋介さんです。創業130年を超える製材業の老舗に新卒入社された明松さんは氷見杉を「ひみ里山杉」としてブランド化する活動を行われています。
ウッドデザイン賞は、初参加の前回に続き、今回で2年連続の受賞。
本作品について「優秀賞を狙っていたので、少し残念」と悔しさも滲ませていた明松さんにウッドデザイン賞への想いを伺いました。
「広報宣伝費が少ない中小企業にとって、受賞することで、多くの人の目に留まるのはありがたいことです。また講評を通して、審査員の方の意見を聞いてあらためてプロダクトについて認識する点も多く、参加企業としての満足度も高いですね。
消費者からの評価ももちろん大事ですが、どちらからというと感性に関わる反応が多いため、ここではデザインとしての価値、プロダクトとしての価値についてのフィードバックがいただけることに、本質的な参加の意義を感じています」
今後も多彩なプレーヤーが、ウッドデザインという共通項のもとに
魅力的なプロダクトを届けてくれることが予感にあふれた展示内容でした。
2015年から2022年までの受賞作品は、
「ウッドデザイン賞受賞作品データベース」で検索いただけます。
気になるプロダクトをぜひご覧ください。
**過去のウッドデザイン賞データベース**
https://www.wooddesign.jp/past/
「ウッドデザイン賞2022」の受賞作品の展示
「人を育てる緑を育てる『フォレストサポーター鉛筆』」(奨励賞・ソーシャルデザイン部門)
「森のお店屋さんごっこセット ひなたぼっこマルシェ」(ハートフルデザイン部門)
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