地域産材を用いた木造フラードームの建築への活用のための構造性能研究

    この研究では、実用のための基礎的なデータを収集するために、木造のフラードームの加力試験を行い、構造性能の検討を行いました。

    掲載情報の概要

    有名な建築家でありエンジニアであったB.フラーは、ドーム建築理論を提唱し、その理論を世界中に広めた。そのドームは「フラーのドーム」と呼ばれている。この理論によって、いくつかの加工研究所や建築が建設され、最近ではフラーのドームが木造住宅に応用されることになった。
    本研究の最終目標は、木造部材を用いたフラー・ドームの構造設計法を提案することである。基礎研究として、鉛直載荷実験と有限要素法によるモデル化を行った。

    はじめに

    リチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983)は,建築家・構造家・エンジニア・工業デザイナー・発明家などと冠せられることのあるアメリカ人です.彼の開発した技術・理論には,ジオデシック・ドーム,テンセグリティなどがあります.それらはエネルギーを効率的に用いることを目的として開発された技術・理論です.ジオデシック・ドームは,通称フラードームと呼ばれ,球形の屋根構造です.このようなドームは,1950年代には軍事要請に応じて用いられた.フラードームの考え方を応用した建物が近年作られており,主には住宅規模の建築物で用いられています.

    組立

    私たちの研究では、まず木造のフラードームの構築を行いました。基本的には手作業を組み立てていきます。

    加力試験

    木造ドームの中にタンクを設置し、そこに水をいれることでドームに力を加え、強度試験を進めました。

    実験結果(荷重-変位関係)

    いくつかのステップに分けて加力試験を行った。頂部に作用した荷重と頂部の変位の測定結果で分析した結果、今回製作したドームの最大荷重は852kgfであった。また、破壊が発生する要因として、軸材を止め付けている釘の引き抜けであることが分かった。そのため、より強度の大きいものとするためにはビスなどの引き抜き抵抗が強いものを使用することが望ましいということが分かった。

    掲載情報の詳細

    論文元/参考文献1
    神戸 渡, 中島 龍太郎, 佐藤大典, 和田啓宏, 杉山則人, 佐藤孝浩, 阿部 潔:施工手順と鉛直載荷試験における挙動分析 木造のフラードームの構築に関する研究 その1 、関東学院大学理工/建築・環境学会 研究報告 61 15-24 2018年3月1日 https://rkgakkai.kanto-gakuin.ac.jp/index.html
    JWDA記事編集者
    関東学院大学 建築・環境学部 教授 神戸渡