広報活動

「WOOD DESIGN EXPERIENCE~ 木を使って、暮らしと街と社会を良くする2日間@名古屋」を開催

イベント
木と環境
リポート
2024.07.25

一般社団法人日本ウッドデザイン協会 (略称:JWDA)は、 202475日 (金)・6日(土)に KITTE 名古屋イベントスペースにて、「 WOOD DESIGN EXPERIENCE ~木を使って、暮らしと街と社会を良くする 2 日間@名古屋 」を開催いたしました。

同イベントは、木を暮らしに取り入れてもらうための普及や、スギやヒノキ材を中心に木材利用が花粉症対策やカーボンニュートラルへの貢献、SDGsの取り組み、自然災害防止につながることを啓発するため、多くの方々に「体験」「実感」「共感」してもらうことを目的として開催されました。

このイベントは、6月に東京・丸の内の丸ビルで開催された花粉症対策普及啓発イベントの巡回展で、地方都市での開催はJWDAとしては初となります。

■「つな木」によるサスティナブルなブースづくり

会場は「都市のビルに里山がやってくる」をテーマに、「つな木」というシステムを使い、日建設計がデザイン・監修しました。

「つな木」を活用したブース

「つな木」は、ホームセンターでも手に入る小径木の角材を専用クランプでつなぎ自由に空間を作ることができます。

今回のブースは、6月に東京・丸の内 丸ビルでのイベントで使用されたものを専門業者とリース契約を結び、再利用しているもので、廃棄することなく、またレンタルとすることで再活用が可能になります。

だれもが簡単に組み立て・解体・移設できる「つな木」を使うユーザーが増えることで木材の魅力に触れ、木材活用の拡大につながることが期待されます。

■木製のアイテムを取り入れる「楽しさ」を想像する

会場の空間内には「オフィス」「飲食」「子育て」のシーンごとに分け、ウッドデザイン賞受賞作品のテーブルやチェア、木製の食器やキッチンツール、木製文具や雑貨、おもちゃなどを展示、生活でも使える木のプロダクトの紹介を行いました。

ウッドデザイン賞を受賞した日常で使えるプロダクトを展示

70代の来場者からは「昔は木のおもちゃも漆器もよく使い、大切にしていました。嫁入り先で大切にしていた漆器や食器を義母から譲り受けたときはうれしく思いました。孫などにもこういう木の製品に親しんで、木の良さや大切に使うことを知ってほしい。」との声がありました。

木のおもちゃは飽きることなく遊べます

会場を通りかかって知ったという親子は「木のおもちゃは温かみを感じるので、安心して遊べますね」と笑顔で遊んでいました。
木のおもちゃには時間を忘れ集中して遊べる魅力があります。

自然素材ならではの魅力と感覚への刺激や安全性は、木育と知育の両面で期待されています。

木のおもちゃを取り入れたいご家庭にはこのようなイベントで体験することがおすすめですね。

■少花粉スギ苗の植林の紹介

同イベントは林野庁の補助事業として、スギ材等の木材利用やカーボンニュートラルへの貢献など、一般消費者への認知を図る目的のために開催されました。

会場には山にみたてた「つな木」のシステムに少花粉スギの苗を展示

国土の7割が森林である森林大国である日本のそのうち4割が戦後植林されたもので、現在本格的な伐採・利用期を迎えています。その利用期を迎えた杉・ヒノキが国民の4割が罹患しているスギ花粉症の一因と言われています

暮らしや経済への影響を及ぼしていることから花粉症を減らしていくために、今後花粉が少ないスギ苗木を植替える必要があり、「伐って、使って、植えて、育てる」森林資源の森林循環のサイクルを回し、健全な森林を維持する必要があります。

会場では普段見ることのないスギの苗木を直接見て触れ、会場の説明員に感想を話したり、親子で観察する姿が見られました。

■体験型プログラムでスギ・ヒノキ材の活用を知る

花粉症対策やカーボンニュートラルへの取り組み促進のためには「伐って・使って・植える」循環をさまざまな分野から取り組む必要があります。

イベントでは「設計・建築関係者」「企業・事業者」「一般消費者」にそれぞれの立場から「使う」取り組みを考えてもらうためのセミナー、ワークショップ、トークセッションを行いました。

最新情報が聴けるセミナーは満員でした

➢現代技術によって幅が広がるウッドデザイン・プロダクト。ストーリーがある国産木材の使い方が主流

設計・建築関係者向けセミナー「ここまできた、スギ材活用による建築の木造・木質化のトレンド」

「木造建築や木質化のトレンドセミナー」では国産材を活用した取り組みや、木材を利用することによるメリット、木造を利用した建築の利点などが語られました。

登壇者は、の株式会社アーティストリー大西巧起氏、株式会社内海彩・長谷川龍友設計事務所 、team Timberizuの内海 彩氏、株式会社日建設計Nikken Wood LabLabの大庭 拓也氏。

株式会社内海彩・長谷川龍友設計事務所 、team Timberizuの内海 彩氏

トレンドとしては、国産材や間伐材の利用、学校施設などへの導入、CLTなどの現代技術を駆使した建築によるまちづくりのための施設などの事例が紹介されました。

株式会社日建設計Nikken Wood Labの大庭 拓也氏

地元企業、株式会社アーティストリーの大西さんからは、家具職人の技術と5軸加工や3DCADなどのデジタル技術を駆使することで、柔軟なデザインを実現できる事例が紹介され、木製サウナや木育トラックのデザインなどのストーリーが語られました。

株式会社アーティストリー大西巧起氏

➢ライフスタイルトークショー「ウッドライフでグッドライフ~木のある暮らしが魅力を語る~」

生活のシーンの中で木を使う事の楽しさや木のある暮らしの豊かさ、地域の魅力や価値発信と木材の関係などを語るトークセッションが行われました。

名古屋開催では、今Z世代にも人気のコスメティックブランド「シロ」の建築プロジェクトマネージャー高山泉氏と、建築関係の生家で育った産婦人科医でコメンテーターの丸田佳奈氏が登壇。

「シロ」建築プロジェクトマネージャー高山泉氏。木を部品としてとらえているわけでなく、「素材に向き合う」ことを大切にし、生産者の思いを聞いて知ってモノづくりをする「シロ」のウッドデザイン力を紹介。

トークでは、人気ブランドの木との関りや、木に観点を置いたツーリズムの楽しみ方、花粉症対策に対する考え方など、日常で木に触れる機会についてセッションされました。

「シロ」の高山氏は、「シロが取り組んでいることは特別なことではない。木はふたつとして同じものはなく、唯一持続可能な素材であるが、限りある資源でもある。自然に対して優しいやり方をしている林業従事者と関りができているので、山の木を余すことなく使うことが実現できている。捨てる素材も限りなく活かすことを考え、それできるだけ環境に負担をかけないようなことを考えている。」と語りました。

産婦人科医でコメンテーターの丸田佳奈氏。JWDAが企画した和歌山県ウッドデザインツアーの体験者となる。

丸田氏は和歌山県ツアーのアンバサダーと医師の両面からの立場から「木」との関りのトークを展開。自身の北海道の実家が木材を扱っていることや、アンバサダーとして訪れた和歌山に親子で巡り、森林や木の空間の癒し効果について語りました。

低年齢化した花粉症については発症前に薬での予防が有効とのことで、「短期で変わるものではないので、長期的な観点で変えていく必要がある。早めに対処することで経済的損失が抑えられる」と言及しました。

■音楽とモノづくりによる普及啓発~国産材使用の楽器制作の未来~

➢国産材楽器ライブ「GOOD WOOD MUSIC JAPAN」~持続可能な社会のための取り組み~

能登地震震災復興応援として、石川県のフルタニランバー株式会社が取り組む地域活性化プロジェクト「ATENOTE」の能登ヒバを使用した楽器を使ったプロによるセッションが行われました。

「ATENOTE」の楽器たち

舞台では元JURY AND MARYドラマーの五十嵐公太氏のユニット、★Ralaのポッケ★と、2023年ミス日本みどりの大使でシンガーソングライターの上村さや香氏による能登ヒバ(アテ)を使用した楽器でのライブが開催されました。

★Ralaのポッケ★五十嵐公太氏と心奏♡Rala(ララ)

能登ヒバのギターでオリジナル曲「森であいましょう」を演奏した『第55回ミス日本コンテスト2023みどりの大使』の上村さやかさんは、ギターをたたくアタック音のリズムで森林の生きている鼓動を表現し、曲の締めくくりのアルペジオは森に吹くそよ風を表現しているといいます。

「今、森林は50年以上迎えて利用期を迎えています。令和6年を生きるみなさんが、そしてみなさんのお子さんがこれからの森林・林業を担っていくと思っています。その入り口として、日常にもっと国産木材のアイテムを身に着けたり、日常に使える色々なアイテムの展示をみて少しでも興味を持っていただけたらと思っています。」と会場に呼びかけました。

『第55回ミス日本コンテスト2023みどりの大使』の上村さやか氏

JWDAの広報普及啓発部会長の杉澤栄さんは「今回は名古屋での開催となったが、首都圏を離れて地方都市でイベントを開催する事の意義、今後の可能性を実感した。ウッドデザイン賞、ウッドデザイン協会を広く普及・拡大させる為にも今後も前向きに取り組んでいきたい。」と語ります。

健全な形で自然の循環を維持し自然との共生を図るためには、モノの生産、流通、消費および再利用、再生という循環型社会を実現し、持続可能な社会づくりが大切です。

国産材を使ったプロダクトや木質空間を生活に取り入れることで、使った分だけ少花粉スギが山に植えられ、豊かな自然環境が未来へバトンされていく…。

今後、このようなイベントに参加し、自分に合った国産木材の活用方法を見つけてみてはいかがでしょうか。

【関連サイト】

□花粉の少ない森へ□

公益財団法人東京都農林水産振興財団 東京都農林総合研究センター

□「つな木」□

株式会社日建設計Nikken Wood LabLab

□ー能登ヒバ楽器プロジェクトー□

ATENOTE

□国産楽器ライブ「GOOD WOOD MUSIC JAPAN」

一般社団法人音楽でニッポンを元気にしようぜ

▽登壇者関連▽

株式会社アーティストリー

株式会社内海彩・長谷川龍友設計事務所

SHIRO

丸田佳奈医師

上村さや香氏 第55回ミス日本コンテスト2023みどりの大使』

3.3.すべての人に健康と福祉を
11.11.住み続けられるまちづくりを
12.12.つくる責任つかう責任
13.13.気候変動に具体的な対策を
15.15.陸の豊かさも守ろう
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