調査研究

【部会活動報告】第2回調査研究部会を開催しました

2026.06.18

2026年6月17日(水)、住友林業 本社(経団連会館8階)にて、第2回 調査研究部会を開催いたしました。会場参加7名、オンライン参加49 名のハイブリッド開催いたします。
今回のテーマは「木を、ビジネスに実装する」。
国際情勢から自動車、空間体験まで3つの話題提供がそれぞれに刺激的で、あっという間の2時間30分でした。

左から安藤氏(農林中金総合研究所)・西村教授(静岡大農学部/トヨタ車体 主査)・河野氏(ネオマデザイン)

開催概要

【日 時】        2026年6月17日(水) 15:00~17:15 
【会 場】        住友林業 本社(経団連会館8階 会議室C4)
【参加方法】ハイブリッド方式(リアル+Teams)
【主 催】      一般社団法人日本ウッドデザイン協会 調査研究部会

第一部 話題提供

①国際情勢≪木を調達する≫ー最近の世界の木材流通とビジネス機会

安藤 範親氏(農林中金総合研究所 主任研究員)

「木材の話だけではない」と感じさせる、スケールの大きな話題提供でした。
今まさに話題のナフサ問題にも踏み込む、原油価格の高騰があらゆる資材コストに跳ね返っている現実をデータで示していただきました。さらにアメリカの住宅事情の変化ー住宅面積の縮小傾向などーが木材需要にどう影響するか具体的な説明もあり理解が深まりました。インドの建材需要の拡大や豪州材のインドシフトなど「世界の木材の流れ」が今どこに向かっているか、鮮明に浮かび上がる内容でした。

②モビリティ≪木と車≫ー木で、車をつくるー

西村 拓也 特任教授(静岡大学 農学部/トヨタ車体 材料技術部 主査(兼務))

「木で作った車が、実際に5か所の日本の公道で走っている」ーその事実だけで会場の関心が一気に高まりました。杉間伐材とCNF(セルロースナノファイバー)を活用したコンセプトカー「しずおかもくまる」の開発を動画を交えてご紹介いただきました。

印象的だったのは、素材開発の最前線についての率直な話。欧州ではリサイクル素材への関心が高く、限りなく同スペックに近い素材が次々開発されている。一方、日本では基準が厳しく「同等スペックである」というデータとリライアビリティがそろわないと採用が難しいーその現実も正直に語っていただきました。

「欧州からの問い合わせが多い」という言葉が示すように、「もくまる」への注目は国内よりむしろ海外で先行しています。木はトレサービリティに優れ、何度でもリサイクルできる。日本にとって最高の資源になりうる、という言葉が残りました。

③空間≪木を、選ばれるようにする≫-体験価値設計で「選ばれる木」をつくるー

河野 道成様(ネオマデザイン株式会社 代表取締役社長/慶應義塾大学大学院KMD リサーチャー)

ソニーで22年、PS4の音声UIなども手がけた経歴を持つ河野さん。「非対称性」と「顧客満足」というキーワードから話は始まり、「木の良さを伝えるか」という問いへ。
鋭かったのは、言葉への警告です。「ホッとする」「温かみがある」ーこうしたポジティブワードは、何気なく使っているとむしろ伝わらなくなる、言葉を簡単にまとめすぎるとかえって消えていく、と河野さんは語ります。木の価値を伝えるには、五感に訴える体験設計と、そこから生まれる感情を丁寧にほぐした言葉が必要だ、というメッセージは、会員各社のコミュニケーション戦略にも直結する内容でした。

第2部 クロストーク

左から 安藤氏、西村教授、河野氏

河野さんのファシリテーションで、登壇者がお互いに問いを投げ合いました。中でも西村教授から安藤さんへの問いかけー「木からエネルギーを作る技術は、安全保障の観点から今こそ再挑戦すべきでないか」ーは木材利用の可能性を資材や建材の枠を超えて問い直すものでしあt。市場・素材・需要。それぞれの知見がぶつかり合い、次の協働の種が蒔かれた時間でした。

クロストークでは、2021年にBMWが発表した完全リサイクル材を活用したコンセプト車両や、2022年にドイツのメルセデス・ベンツが実用化した再生素材製ドアハンドルの事例が話題となりました。
森林分野、自動車産業、デジタル機器分野と領域は異なるものの、素材や資源の価値を追求する専門家同士という共通点もあり、議論は大いに盛り上がりました。

特に、近年は世界的な資源価格の高騰に加え、米国の住宅・建築市場にも影響が及ぶなど、資源の安定確保や循環利用の重要性がますます高まっています。こうした背景から、自動車業界では使用後の資源をいかに回収し、再び製品へと循環させるかが重要なテーマとなっており、BMWやメルセデス・ベンツの事例からもわかるように、欧州では製品設計の段階からリサイクル性を高め、将来的には100%循環を目指す考え方が広がっています。
このような世界の潮流を踏まえる中で、日本が有する最高の再生可能資源である「木」の価値にも話題が及びました。

森林によって育まれる木材は、適切に利用し再び育てることで循環し続けることができる資源であり、脱炭素や地域活性化にも大きく貢献します。
自動車やデジタル機器の分野が資源循環の実現に挑戦する中、日本の森林資源は循環型社会を支える大きな可能性を秘めています。

欧州で進むサーキュラーエコノミーの潮流を踏まえながら、日本の森林資源をいかに次世代へつないでいくかについて、活発な意見交換が行われました。

調査研究部会は、会員の情報提供が次の協働を生む「オープンソース型の部会」です。次回の開催情報は会員向けにご案内いたします。

8.8.働きがいも経済成長も
17.17.パートナーシップで目標を達成しよう
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